特設ページ - 2018年 世界発信コンペティション

祝! 世界発信コンペティション 特別賞 受賞

弊社の開発した多角的偏光イメージングシステム「Polamazing®(ポーラメージング)1000」が、
東京都の主催する「2018年 世界発信コンペティション」において特別賞を受賞しました。

2018年11月14日、東京ビッグサイトで開催された「産業交流展2018」にて審査結果が発表され、弊社製品「Polamazing® 1000」が製品・技術(ベンチャー技術)部門 特別賞を受賞しました。

  • 受賞企業についてはこちらをご覧ください。
  • 世界発信コンペティション」は、中小企業の製品・技術、サービスの開発や販路開拓を促進し、その優れた製品やサービスを国内外に発信するため、「製品・技術(ベンチャー技術)部門」「サービス部門」の2つの分野でコンペティションを実施するものです。革新的で将来性のある製品・技術、サービスが表彰され、開発・販売等奨励金が交付されます。概要はこちらをご覧ください。

受賞のご挨拶

まずはこの度、受賞となりましたことを心より御礼申し上げます。2013年に引き続き、5年ぶり2度目。前回は、件の都知事さんが大騒ぎの末に1ヶ月後にいなくなるというオチがつきました。今年の表彰式は、小池百合子都知事が当日ドタキャン。都職員より表彰状と賞金目録を受け取りました。

 前回の受賞は、3D可視化/画像解析を行う私共のソフトウエア製品でありました。これまでソフトウエア専業でやってきた弊社でしたが、ここ数年、ソフトウエアの範疇に留まらず、新たな領域で文字通り多角的な取り組みを始めてまいりました。多角的偏光イメージングシステム「Polamazing® 1000」は、そうした中で私が産業技術大学院大学で手掛けた研究をきっかけとして開発した装置です。

 振り返れば、2013年の受賞会場すぐそばで展示をしていたのが産技大でした。アカデミックな客層を相手に永年、商売をしてきた私でさえ、存じ上げなかった学校でしたが、週末/夜間の時間とネットを併用することで、社会人でも履修できるとの話。弊社の場合、私が本業以外に時間をとられていたのでは、経営が傾きかねません。しかし、私は会社でお勤めの方々に比べれば、自由な立場にいることも事実。希少な工学系の専門職大学院であること、東京にいてこそ通える地の利、ソフトウエア専業でやってきた弊社の次の展開を考えたときに始める仕掛けとしては、条件が揃っており、大変は大変でも何か産み出せるかもと考え、入学してみた次第です。
 産技大における研究の経緯について、もしご関心をお持ち頂いた向きには、この辺をお読み頂ければと思います。

滝 克彦, 笹尾 英樹, 村越 英樹
「「成果」志向のAIIT PBLの運営戦術 〜2015年度 村越PTの活動から〜」
産業技術大学院大学研究紀要 第10号, pp. 119-125, 2017.1

https://aiit.ac.jp/research_collab/research/bulletin/

 修了後、学友らに後押しされて事業化を志し、公社の助成事業に採択され、都産技研龍谷大学仙台高専と共同研究を実施、高度な撮影、可視化や数値化を実現した商用装置が完成し、本年6月の発表にこぎ着けました。

 産技大入学から4年あまり、もっとさかのぼると弊社の創業から21年のときを経て、本日を迎えることができました。偏光イメージングは、当初から事業化を念頭に置いて始めた訳ではありませんでしたが、振り返ると、全てが一連のストーリーになっておりました。多くの方々のご支援、ご協力なくしては、この装置は完成しなかったと思います。皆様方に改めて深く御礼申し上げます。弊社の今後の事業展開にご期待ください。

2018年11月14日

日本ビジュアルサイエンス株式会社
代表取締役 滝 克彦

2013年 前回授賞式の様子
右端が弊社代表の滝

展示会の弊社ブースにて

「Polamazing® 1000」製品紹介ページ

お祝いのコメント

東京都立産業技術研究センター光音技術グループ海老澤 瑞枝様

特別賞受賞,おめでとうございます。

 外観検査において訓練を積んだ人の目はとても優秀で、不慣れな人には見えないモノ(キズやもやなど)が見えます。見えるコツを理論的に説明することは困難ですが、照明や見る角度の条件は非常に重要です。これらの条件を自動で変えて多角的に撮像するこの装置は、多くの人と「”見える”を共有できる」装置だと思います。さらに、偏光子で挟んでも干渉色が発現しない微小な複屈折は、定量化して擬似カラーで表示されるため、「見えないものが見える」装置でもあります。

 工業製品の検査用のみならず,広い分野での視覚化に活用されることを期待しております。

産業技術大学院大学創造技術専攻教授 村越 英樹 様

偏光イメージングシステムが、世界発信コンペティションの製品・技術(ベンチャー技術)部門で特別賞を受賞したこと、とても喜ばしく思います。偏光イメージングシステムの基本構想は、2015年度の産業技術大学院大学 産業技術研究科 創造技術専攻のプロジェクト型演習科目であるイノベーションデザイン特別演習(PBL)提案されたものです。当時は美しい発色に感動し、撮影された写真を見ながら、その色彩を楽しみ、ここにウェルドラインがあるとか、この部分に歪がありそうだなどと、目視検査をするものでした。その後、PBLのメンバであった滝が構想を膨らませ、研究開発を続行して、複屈折位相差/主軸方位を数値化する機能や、歪/分子配向を表示する機能が付け加えられて、素晴らしいシステムに仕上がっていると思います。今回、大賞を受賞してもおかしくないと感じています。
 ちなみに、私は、これのおかげで、こんなものにハマってしまいました。

二瓶国際特許事務所所長・弁理士 二瓶正敬様

この度は、東京都ベンチャー技術特別賞の受賞おめでとうございます。弁理士として御社の知的創造活動並びに知的財産権の取得と利用の支援をさせて頂いております私及び二瓶国際特許事務所の所員一同にとっても、誠に大変喜ばしい限りです。日頃より、広い視野と比類なき努力及び向上心を以て、創造力に富んだ技術を高い完成度で実際の製品として作り上げる御社の「ものづくり」の技術力には大変感服しております。特に、今回の受賞対象である「多角的偏光イメージングシステム」は、様々な技術分野へ適用できる可能性を秘めており、必ずや多様な産業の発展に寄与するであろうと確信します。今回の受賞が御社の技術力の更なる向上に繋がり、御社が更に飛躍されることを心より祈念します。

開発スタッフのコメント

間杉 綾乃 (日本ビジュアルサイエンス)

技術や製品の先にいるお客様を常に意識し製造してきた偏光イメージング装置が受賞したこと、またその開発や製造に携われたことを嬉しく思います。
 レーザー加工機など機器を使った作業がメインとして日々続く中、ある日、木板をのこぎりで切り出し、色塗りや穴あけ等をやることになり、普段のPCや機械を使った業務とはかけ離れた慣れない手作業に苦戦したことを思い出します。その部品が装置の一部に使われたこと、誇りに思います。
 仕事と子育て等で時間に追われながらも理解あるこの環境で、日々、微力ながらもこの会社を通して、製品・技術の向こう側のお客様や社会に貢献する力になっていけたらと思います。

漆松 雪彦 (日本ビジュアルサイエンス)

主に電気/電子回路の設計・実装と、機械部品の選定・調達を担当しました。担当したいずれの業務についても、経験の浅い状態から出発しました。弊社のようなベンチャー企業では、常に専門的人員が事に当たれるわけではありません。そのため勉強を積み重ね、試行錯誤を繰り返し、経験の不足を知恵を絞って熱意で乗り越え、製品の完成にこぎつけました。チームの苦心の結晶であり、受賞を大変嬉しく思います。また今回の私共の受賞は、新事業の展開において必ずしも有利な態勢にはない、同様の境遇にある他のベンチャー企業に、大きな勇気を与えるものだと思います。

古賀 玄義 (日本ビジュアルサイエンス)

本製品ロゴ

本製品の開発にはグラフィックデザイン、具体的には一連のロゴ、アイコン要素、またそれらの運用ガイドなどの作成で携わりました。
 本製品は、外観だけから偏光ひずみの定量的な計測と可視化という用途が類推できるほど単純な機構ではなく、また類似する装置も存在しません。このことから、本件でのグラフィックデザインの役割は、外的なアピールのために少なくとも本製品が扱われるべき分野を示すような、わかりやすい意匠を紐付けることであると考えました。
 特に目を引くところのアイコンに刻まれたPの字型の模様は、実際に円盤を押しつぶした際に現れる偏光縞の中に観察することができるものです。また色が使える環境では、そのなかに偏光色を配することで標示内容を強めています。専門性の高い装置であるだけに、今後広く知られることでこれまで見えなかった世界を暴く可能性を持つものでもあり、そのような案件に携われたことを光栄に思います。

礎 良輔 (早稲田大学

私は主に偏光イメージング装置の偏光計算・可視化を行うソフトウエアの開発に携わらせていただきました。普段は情報理工学・ソフトウエア工学に関する研究をしておりますため、光学というこれまでほとんど関わりのなかった分野の概念や計算処理をプログラムとして実装するために様々な課題に直面してきました。 その成果を今回このような形で評価していただけたことを大変光栄に思います。